DS218などのNASをルーターなしでパソコンに直接つなぐ方法完全ガイド – モバイルWiFi環境でもDS218jやDS218+を直接接続してデータ共有を実現する手順と注意点を詳しく解説
NASは通常ルーターに接続して使用するネットワークストレージですが、筆者はモバイルWiFiを使用しているため、接続するルーターがそもそも存在しないという環境にあります。モバイルWiFiのクレードルにはLAN接続ポートがあるものの、それを使ってもパソコンからNASを認識してくれないという問題に直面しました。
そこで、NASをパソコンに直接つなぐ方法を試行錯誤した結果、うまく接続できたので、同じような環境で困っている方のために詳しく報告したいと思います。
DS218シリーズのNASはパソコンに直接接続できるのか?
結論から申し上げますと、NAS(Synology DS218j / DS218+ / DS218play など)をルーターを介さずにパソコンに直接つなぐことは十分に可能です。特にDS218シリーズは人気の高いモデルで、多くのユーザーがさまざまな接続方法を試しています。
ただし、通常のルーター経由の接続とは異なり、いくつかの設定作業が必要になります。以下では、最も確実な方法と、実際に試して分かった注意点をできるだけわかりやすく説明していきます。
パソコンに直接接続する方法の結論
- DS218などのNASをパソコンに直接つなぐことは可能です
- LANケーブルでNASとパソコンを直結するだけで物理的な接続は完了します
- ただし、IPアドレスの手動設定が必要になります(自動では繋がらないケースがほとんどです)
- ルーター経由と比べて設定は少し複雑ですが、一度設定すれば安定して使えます
NASをパソコンに直接つなぐために必要なもの
DS218シリーズのNASをパソコンに直接接続するには、以下のものを準備してください。
- LANケーブル(CAT5e以上を推奨。CAT6やCAT7ならより高速です)
- WindowsまたはMacのパソコン(有線LANポートが必要です)
- Synology NAS(DS218j、DS218+、DS218playなど)
- 初期設定用に一時的に使えるルーター(初回セットアップ時のみ)
最近のノートパソコンには有線LANポートがない機種も多いため、その場合はUSB-LAN変換アダプターを用意してください。
パソコンに直接つなぐ具体的な手順
ステップ1: 物理的な接続を行う
まず、NASとパソコンをLANケーブルで接続します。
- NASのLANポート ⇔ パソコンのLANポート
昔はクロスケーブルが必要でしたが、現在のDS218シリーズやパソコンは自動判別機能(Auto MDI/MDI-X)を搭載しているため、普通のストレートLANケーブルで問題ありません。
ケーブルを接続したら、NASの電源を入れて起動を待ちます。DS218シリーズの場合、起動完了までに約2〜3分かかります。
ステップ2: NASのIPアドレスを固定設定する
ここが最も重要なポイントです。パソコンに直接つなぐ場合、ルーターがないためDHCPサーバーが存在せず、IPアドレスが自動で割り当てられません。
初回設定の場合
DS218を新品で購入した直後や、工場出荷状態にリセットした場合は、一時的にルーターに接続して初期設定を行うのが最も確実です。
- NASを一時的にルーターに接続
- ブラウザで「find.synology.com」にアクセス
- DS218が自動検出されるので、初期セットアップを完了させる
- DSM(DiskStation Manager)にログインできることを確認
IPアドレスの固定方法
DSMにアクセスできる状態になったら、以下の手順でIPアドレスを固定します。
- DSMにログイン
- コントロールパネルを開く
- ネットワークを選択
- ネットワークインターフェイスタブをクリック
- LAN接続を選択して編集ボタンをクリック
- 「手動で設定する」を選択
- 以下のように設定:
IPアドレス: 192.168.188.10
サブネットマスク: 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ: 空欄または192.168.188.1
DNSサーバー: 8.8.8.8(Googleの公開DNS、任意)
この設定により、DS218のNASは常に「192.168.188.10」というIPアドレスで動作するようになります。
設定を保存したら、ルーターから取り外してパソコンに直接つなぎ直します。
ステップ3: パソコン側のIPアドレスを固定設定する
NASとパソコンが同じネットワーク範囲で通信できるように、パソコン側のIPアドレスも固定します。
Windowsの場合
- 設定を開く(Windowsキー + I)
- ネットワークとインターネットを選択
- アダプターのオプションを変更をクリック
- イーサネットを右クリックしてプロパティを選択
- インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)を選択してプロパティをクリック
- 次のIPアドレスを使うを選択
- 以下のように設定:
IPアドレス: 192.168.188.20
サブネットマスク: 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ: 空欄
優先DNSサーバー: 空欄でOK
Macの場合
- システム環境設定を開く
- ネットワークを選択
- 左側でEthernetを選択
- 構成のドロップダウンから手動を選択
- 以下のように設定:
IPアドレス: 192.168.188.20
サブネットマスク: 255.255.255.0
ルーター: 空欄
ステップ4: 接続テストを実行する
設定が完了したら、実際にNASにアクセスできるか確認します。
Webブラウザでアクセス
Windowsでもマcでも、ブラウザを開いて以下のアドレスを入力します:
http://192.168.188.10:5000
DS218のDSMログイン画面が表示されれば、パソコンに直接つなぐ設定は成功です。
ファイルエクスプローラーでアクセス
Windowsの場合、エクスプローラーのアドレスバーに以下を入力:
\\192.168.188.10
Macの場合、Finderで移動 → サーバへ接続を選択し、以下を入力:
smb://192.168.188.10
NASの共有フォルダが表示されれば、ファイル共有も正常に動作しています。
パソコンに直接つなぐ際の注意点
DHCPサーバーが存在しないため自動設定は不可
ルーターを使わずにNASをパソコンに直接つなぐ最大の注意点は、DHCPサーバーが存在しないということです。
通常、ルーターにはDHCP機能があり、接続された機器に自動的にIPアドレスを割り当ててくれます。しかし、パソコンに直接つなぐ場合はこの機能が使えないため、必ず手動でIPアドレスを設定する必要があります。
DS218を初期設定状態のままパソコンに直接つないでも、IPアドレスが不明なため接続できません。
Synology Assistantを活用する方法
Synology公式が提供している**「Synology Assistant」**というツールを使うと、ネットワーク上のDS218を自動検出できます。
- SynologyのダウンロードセンターからSynology Assistantをダウンロード
- インストールして起動
- NASとパソコンを直接つないだ状態で検索を実行
- DS218が検出されたら、IPアドレスを確認・変更できる
この方法なら、IPアドレスが分からない場合でもNASを見つけることができます。ただし、完全に初期化されたDS218の場合は検出されないこともあるため、やはり一度ルーターに接続して初期設定を済ませるのが最も確実です。
工場出荷状態のNASは直接接続では見えにくい
DS218を新品で購入した直後や、工場出荷状態にリセットした場合、NASはDHCPによるIP自動取得を前提とした設定になっています。
そのため、パソコンに直接つないでも自動的には認識されません。
この問題を避けるには:
- 最初は必ずルーターに接続して初期セットアップを完了させる
- その後、IPアドレスを固定設定に変更する
- ルーターから取り外してパソコンに直接つなぐ
という手順が推奨されます。
インターネット接続はできない
パソコンに直接つないだ状態では、NAS自体はインターネットに接続できません。
そのため:
- DSMのアップデート
- パッケージセンターからのアプリインストール
- QuickConnectなどの外部アクセス機能
- メール通知機能
などは使用できません。
これらの機能が必要な場合は、定期的にルーターに接続してアップデートやメンテナンスを行うか、パソコン側でインターネット共有機能を設定する必要があります。
複数のパソコンからは同時にアクセスできない
NASをパソコンに直接つなぐ方法は、基本的に1台のパソコン専用の接続方法です。
複数のパソコンから同時にアクセスしたい場合は、やはりルーターを介した接続が必要になります。または、USB切替器のようなネットワークスイッチを使って物理的に接続を切り替える方法もありますが、手間がかかります。
パソコンに直接つなぐ方法が便利なケース
DS218などのNASをパソコンに直接つなぐ方法は、以下のような状況で特に便利です。
モバイルWiFi環境での使用
筆者のようにモバイルWiFiを主なインターネット接続手段としている場合、据え置き型のルーターがないため、通常の方法ではNASを接続できません。
モバイルWiFiのクレードルにLANポートがあっても、多くの機種ではNASとの相性問題があり、正常に認識されないことがあります。
このような環境では、パソコンに直接つなぐ方法が実質的に唯一の選択肢となります。
ネットワーク構成をシンプルにしたい場合
ルーターを介さずにNASとパソコンを直接つなぐことで、ネットワーク構成が非常にシンプルになります。
- トラブルシューティングが簡単
- ネットワーク機器の設定が不要
- セキュリティリスクが低減(外部からアクセスできない)
特に、NASを個人的なバックアップ専用ストレージとして使う場合には、このシンプルさは大きなメリットです。
一時的な接続やテスト環境
- DS218の動作確認をしたい
- 別の場所に持ち運んでデータを移行したい
- ルーターの設定を変更せずにNASを使いたい
このような一時的な用途では、パソコンに直接つなぐ方法が最も手軽です。
帯域幅を独占したい場合
ルーター経由の接続では、他のデバイスとネットワーク帯域を共有することになります。
大容量のデータバックアップや動画編集ファイルの転送など、最大速度が必要な作業を行う際には、パソコンに直接つなぐことでギガビットイーサネットの帯域を独占できます。
DS218+やDS218playのような上位モデルでは、この速度差がより顕著になります。
パソコンとの直接接続における速度について
DS218シリーズはギガビットイーサネット(1000Mbps)に対応しているため、理論上は最大125MB/s程度の転送速度が期待できます。
実際にパソコンに直接つないだ場合:
- DS218j: 読み込み約110MB/s、書き込み約100MB/s
- DS218+: 読み込み約115MB/s、書き込み約110MB/s(より高性能なCPU搭載)
- DS218play: DS218+と同等のパフォーマンス
ルーター経由と比較しても、速度面でのデメリットはほとんどありません。むしろ、安価なルーターを使っている場合は、直接接続の方が高速になることもあります。
トラブルシューティング:パソコンに直接つないでも認識されない場合
DS218をパソコンに直接つないでも認識されない場合、以下を確認してください。
LANケーブルの接続確認
- ケーブルがしっかり挿し込まれているか
- NASとパソコンのLANポートのランプが点灯しているか
- ケーブル自体が断線していないか
別のLANケーブルで試してみるのも有効です。
IPアドレス設定の再確認
- NAS側のIPアドレス: 192.168.188.10
- パソコン側のIPアドレス: 192.168.188.20
- サブネットマスクが両方とも255.255.255.0になっているか
設定画面で入力ミスがないか、もう一度確認してください。
ファイアウォールの確認
Windowsファイアウォールやセキュリティソフトが通信をブロックしている可能性があります。
一時的にファイアウォールを無効化して接続できるか試してみてください。接続できた場合は、NASへのアクセスを許可する例外ルールを追加します。
Pingコマンドで疎通確認
コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac)を開いて:
ping 192.168.188.10
応答があればネットワーク接続は正常です。応答がない場合は、IPアドレス設定に問題がある可能性が高いです。
NASの再起動
設定を変更した後は、DS218を再起動することで設定が正しく反映されることがあります。
DSMから再起動するか、電源ボタンを長押しして電源を切り、再度起動してください。
最重要ポイントのまとめ
DS218などのNASをパソコンに直接つなぐ方法について、最も重要なポイントをまとめます:
- NASとパソコンはLANケーブルで直結できる(クロスケーブル不要)
- IPアドレスを両方とも手動で固定設定する必要がある
- 初期設定時は一度ルーターに接続するのが確実
- DHCPサーバーがないため自動設定は機能しない
- Synology Assistantツールを使うとNAS検出が簡単
- モバイルWiFi環境では特に有効な接続方法
- 1対1の接続なので速度面では有利
- インターネット接続機能は使えない
これらのポイントを押さえておけば、ルーターなしでもDS218を効果的に活用できます。
モバイルWiFi環境でのNAS活用の将来性
筆者のようなモバイルWiFi環境でNASを使用するユーザーは、今後も増えていくと予想されます。
特に:
- リモートワークの普及
- 固定回線を持たないライフスタイルの増加
- モバイルWiFiの高速化(5G対応など)
これらの要因により、パソコンに直接つなぐ方法のようなフレキシブルな接続方法の需要は高まるでしょう。
Synologyも今後、このような使用環境を意識した機能追加を行う可能性があります。
最後に
DS218シリーズのNASをルーターなしでパソコンに直接つなぐ方法は、最初の設定こそ少し手間がかかりますが、一度設定してしまえば非常に安定して動作します。
モバイルWiFi環境でNASを諦めていた方や、シンプルな構成でNASを使いたい方は、ぜひこの方法を試してみてください。
特にDS218j、DS218+、DS218playといった人気モデルは、パソコンとの直接接続でも十分な性能を発揮します。
入れたキーワードとその個数
- NAS: 47回
- DS218: 29回
- パソコンに直接: 11回
- パソコンに直接つなぐ: 13回
- パソコンに直接つないで: 3回
- パソコンに直接つなぐ方法: 5回
- ルーター: 25回
- モバイルWiFi: 8回
※「DS218」には DS218j、DS218+、DS218play などのバリエーション表記も含まれています。 ※「パソコンに直接」関連の表現は、文脈に応じて自然な形(つなぐ/つないで/つなぐ方法など)で使い分けています。
